霧葵のブログ

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「天気の子」の感想

本日、急遽友達と映画に行くことになり、微妙なラインナップの中から俺は渋々「天気の子」を選択した。俺は元来斜に構えてしまう性格のオタクであり、世間でウケている「天気の子」は見るつもりなど無かったのだが(もちろん、「君の名は」も見たことはなかった)、「トイストーリー4」や「二ノ国」、「ドラゴンクエスト・ユアストーリー」など、駄作駄作言われてる作品よりかはマシかな?と思い観賞を決意。

感想としては、良かったです!「天気の子」。キャラクターの行動理念が不自然というのもなかったし、ストーリーの破綻もないし、この手の一般ウケを狙ったアニメ映画の割には声優の質も悪くなく、映像も綺麗で、ごくごく一般人としての視点から見ても「良作」以上の評価は間違いなく得られる作品だと思う。

俺個人の感想は、やはり「セカイ系」の良さが上手いこと活かされてるなと感じた。天気の子は究極、主人公とヒロインと、そしてその2人によって左右される世界の話である。正にセカイ系の王道だった。

ヒロインの為に彼女以外の世界を捨てる(本作の場合は、逮捕によって人生に大きなハンデを負うとかか?)というシチュエーションは非常にオタクに刺さるし、警察に追われつつのヒロインとの逃走劇もまた、オタクぶっ刺さりというところだろう。

まあ、一言で言うなら「天気の子」は伝奇系エロゲーの様なシナリオだった。   

特に記憶に残ってるのは、花火のCGが綺麗だったことかな。あれは圧巻だった。ていうか全体的に映像が凄いよね。

あ、あとはラストシーンで須賀さんが廃ビルで帆高を警察に自首する様に勧めるところ。そこは良かったな。描かれてない部分で、安井刑事が須賀さんに取引を申し出たんだろうなぁって察せた。現状須賀さんには帆高誘拐の嫌疑がかけられていて、娘を取り戻すのに心証が悪いから、それをチャラにするって取引を受けてたのかぁって。

 

と、まあストーリーも良く、キャラも特徴が薄いとはいえ声も性格も悪くなく、映像も綺麗だったので最高!と言いたいところだが、俺には1つだけ不満がある。それは帆高が家出をした理由が何なのかが不十分だ、というものだ。

警察から追われ、陽菜や凪がアパートに住めなくなった後、実家に帰るかどうか迷い、結局彼女らと共に逃走する所。そこで家に帰らない宣言したのはまあ分かる。陽菜や凪を2人にしておけない、心配だから、自分が少しでも力になりたいという気持ちからだろう。しかし、そもそも東京に家出をした理由が薄いのだ。まあ、島に住んでいる時に雲を追いかけるも追いつけないシーンから想像するに、狭過ぎる島に閉塞感を抱いていたというのは分かる。しかし、それによってわざわざ東京まで家出をし、何ヶ月もそれを続けるだろうか。

離島に生まれ、そこに住むことに閉塞感を感じる人間は多くいるだろう。しかし、彼らが全員東京まで家出し、何ヶ月も帰らない生活をするだろうか。おそらくしないし、その点では帆高の行動は不自然に映る。なんかもっと深刻な理由はないのか?と思った。

だがそれもしょうがないのだろう、尺的に。「天気の子」は無駄なシーンがほぼなく、帆高のK &Aでの住み込みのバイト生活や、晴れ女バイトでの出来事は、部分部分のシーンを見せるだけで省略されている。このように、尺的には頑張っているのだ。(だからこそ2時間に満たない作品なのにボリュームがある)

この中に帆高の家出理由を詳しく描写する隙はないのだろう、残念なことに。無駄なシーンがあればそこを削れ!と文句をつけていただろうが、削れるシーンが殆どなく、俺は受け入れるしかなかった。

 

 

全体的に質が高く、ストーリーはオタク好み、唯一の欠点も仕方がないという事で、俺的にはここ最近の映画で一番楽しめた。欲を言えばこの作品が百合だったらなぁと見ていて思った。もしそうなら、この先一生推せる作品だったのに。

 

 

 

 

天気の子を見て機嫌を良くした俺は、ひょっとしたら「君の名は」も面白いのでは?と思い、映画館からの帰りに君の名はのBDを借り、観賞してみたが、「君の名は」はまあ普通だった。SF的な試み(3年間の時間のズレ)は面白かったが、結局作品の肝が恋愛でしかなく、単なる恋愛映画だなという感想。

だが、絵も綺麗だしストーリーの破綻もないし(これは凄いと思った。ストーリー作るのが難しそうな設定なのに)で、良作と言われるのも頷けるな。村を救うために奔走する部分は「ひぐらしのなく頃に」の様で、熱くて良かったと思う。

 

 

俺は捻くれてるので流行り物に真っ直ぐと向き合えない。でも、たまには新海誠作品のような一般ウケした作品を見るのも悪くないのかなと思いました。

 

 

 

追記)

「天気の子」の批判意見として、「結局日本の領土の多くが水没してしまった。これではハッピーエンドといって良いのか」というものがあるらしい。俺はこれは筋違いだと思った。「天気の子」の主人公は帆高であり、帆高の決定が世界の在りようを決めるのだ、セカイ系だから。旧劇エヴァだって、全ての選択は碇の息子に託されたでしょ?そんなもんなんですよ、オタク向けアニメは。

「天気の子」は一般向けに売り出してるアニメだから、こんなハッピーエンド至上主義みたいな文句がつけられてしまうのかなぁと少し残念。でもこれが大多数ウケの宿命なのだと思った。

 

あ、あと凪くんが存在している理由。それは間違いなく帆高と陽菜がセックスしていた説を提唱させないためです。オタクはキモいから、もし凪くんが居なかったら、ラブホで2人はセックスしてたんだ!(ドヤ顔考察(笑))をしてしまいます。それを防ぐために(ラブホで2人きりにさせないために)、凪くんは作られたキャラクターなんだなと思いました。

 

 

最後に。異常気象を止めた原因が本当に陽菜の失踪によるものかどうかを曖昧にしておくのは、物語に深みを与えていて良いと思う。結局子供たちの妄想が偶然、天候の変化と噛み合っていただけかも知れないし、伝説も事実とは言えないからな。

でも、須賀さんは陽菜のせいだって薄々は気づいているんだろうなぁと感じた。「お前たちが世界の形を変えたなんて思い上がるんじゃねぇ。元々世界は狂っている」って言ったシーン。あれは罪悪感を感じている帆高の気を和らげるっていう意図もあったと思う。ていうか、廃ビルでの騒動の後、須賀さんは鳥居の周りの不思議な光を目撃してるから、今回の出来事の全てについて察しがついているはずなんだよなぁ。でも大人だから言わない。そういうことなんでしょう。